水をふさぎ止め、水が中にしみ込んで、地くずれが起こっていた。底部はゆるんで、泥土《でいど》の中にはいり込んでいた。どれほどの長さに及んでいたか、それはわからない。やみは他の所よりもずっと濃くなっていた。それは暗夜の洞窟《どうくつ》の中にある泥土の穴だった。
ジャン・ヴァルジャンは足下の舗石が逃げてゆくのを感じた。彼は泥濘《でいねい》の中にはいった。表面は水であり、底は泥であった。けれどもそれを通り越さなければならなかった。あとに引き返すことは不可能だった。マリユスは死にかかっており、ジャン・ヴァルジャンは疲れきっていた。それにまたどこにも他に行くべき道はなかった。ジャン・ヴァルジャンは前進した。その上、初めの二、三歩ではその窪地《くぼち》はさまで深くなさそうだった。しかし進むに従って、足はしだいに深く没していった。やがては、泥《どろ》が脛《すね》の半ばにおよび水が膝《ひざ》の上におよんだ。彼は両腕でできるだけマリユスを水の上に高く上げながら、進んでいった。今や泥は膝におよび、水は帯の所におよんだ。もう退くことはできなかった。ますます深く沈んでいった。底の泥土《でいど》は、ひとりの重さ
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