りの大工が、ルーイイー街で、普請中の屋敷のまわりに板囲いをこしらえていた時、屋敷の中に引き裂かれた手紙の一片を見いだした。それには次の数行がまだ明らかに読まれた。
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「……各種の団結を作らんとして区隊の者を引き抜くことを禁ずるために、委員会は何らかの手段を講じなければならない……」。
[#ここで字下げ終わり]
そしてその追白にはこう書いてあった。
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「われわれの知るところによれば、フォーブール・ポアソンニエール街五番地(乙)の武器商の中庭に、五、六千|梃《ちょう》の小銃がある。わが区隊は目下武器をまったく有していない。」
[#ここで字下げ終わり]
またその大工が非常に不思議がって近所の者らに見せた物が一つあった。それは手紙の落ちてた所から数歩先で彼が拾ったも一つの紙片だった。同じく引き裂かれてはいたが手紙よりもいっそう意味ありげなものだった。われわれはここに、それらの不思議な記録を歴史的興味の上から書き写してみよう。
[#紙片の図、図省略]
[#ここから2字下げ]
(訳文)
この表を暗記せよ。しかる後に裂き捨てよ。新加入者ら
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