何と言っていいかわからないが、旦那方は私を悪くいって、返事をしろ! と言いなさる。憲兵さんは親切に、私を肱《ひじ》でつっついて、返事をするがいいと小声で言いなさる。が私は何と説き明かしていいかわからない。私は学問もしなかった。つまらない男だ。それがわからないと言うのは旦那方の方がまちがってるんだ。私は盗みはしなかった。落ちてるものを地から拾い上げたまでだ。旦那方はジャン・ヴァルジャン、ジャン・マティユーと言いなさる。私はそんな人たちは知らない。それは村の人かも知れない。私はロピタル大通りのバルーさんの家で働いていたんだ。私はシャンマティユーという者だ。よくも旦那方は私の生まれた所まで言ってきかしなさる。だが自分ではどこで生まれたか知らないんだ。生まれるに家のない者もいる。その方が便利かもわからないんだ。私の親父《おやじ》と母親《おふくろ》とは大道を歩き回ってる者だったに違いない。だがそれも私はよく知らない。子供の時私は小僧と言われていた、そして今では爺さんと人が言ってくれる。それが私の洗礼名だ。どう考えようとそれは旦那方《だんながた》の勝手だ。私はオーヴェルニュにもいたし、ファヴロール
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