へだてていた。
広間の中は薄暗かったので、彼は最初に出会った弁護士に平気で話しかけた。
「審問はどの辺まで進みましたか。」
「もう済みました。」と弁護士は言った。
「済みました!」
そう鋭い語調で鸚鵡《おうむ》返しにされたので、弁護士はふり返って見た。
「失礼ですが、あなたは親戚なんですか。」
「いや私の知ってる者は一人もここにはいません。そして刑に処せられたのですか。」
「無論です。処刑は当然です。」
「徒刑に?……」
「そうです、終身です。」
彼はようやく聞き取れるくらいの弱い声で言った。
「それでは、同一人だということが検証せられたわけですね。」
「同一人ですって?」と弁護士は答えた。「そんなことを検証する必要はなかったのです。事件は簡単です。その女は子供を殺した、児殺しの事実は証明された、しかし陪審員は謀殺を認めなかった、で終身刑に処せられたのです。」
「では女の事件ですか。」と彼は言った。
「そうですとも。リモザンの娘です。いったい何の事をあなたは言ってるんですか。」
「いや何でもありません。ですが裁判はすんだのに、どうして法廷にはまだ燈火《あかり》がついてるのですか。
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