を彼はそういう状態のうちに過ごした、内心の擾乱《じょうらん》と外部の深い平静とをもって。いわゆる「大事を取る」ということをしか彼はしなかった。すべてはまだ脳裏に漠然と紛乱していた。何らのまとまった観念も認められないほどにその擾乱は激しかった。ただある大なる打撃を受けたということのほかは、彼自らも自分自身がわからなかったであろう。彼は平素のとおりファンティーヌの病床を見舞い、親切の本能からいつもより長くそこにとどまり、自分のなすべきことを考え、万一不在になる場合のために、彼女を修道女たちによく頼んでおかなければならないと思った。アラスへ行かなければなるまいとぼんやり感じた。が少しもその旅を心に決したのではなかった。実際のところ何らの疑念をも被るわけはないので、これからの裁判に列席しても何ら不都合はないとひそかに考えた。そしてあらゆる事変の準備を整えておくために、スコーフレールの馬車を約束した。
 彼はかなりよく食事もした。
 自分の室に帰って彼は考え込んだ。
 彼は自分の立場を考えて、それが異常なものであることを知った。あまりに異常だったので、ほとんど名状し難いある不安な衝動に駆られて、
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