みずみず》しい頬には笑いが浮かんでいた。一人は栗《くり》色の髪で、一人は褐色《かっしょく》の髪をしていた。その無邪気な顔は驚喜すべきものだった。通り過ぐる人たちににおって来る傍《かたわら》の叢《くさむら》の花のかおりも、その子供たちから出てくるのかと思われた。一歳半の方の子供は、かわいらしい腹部を露《あら》わに見せていたが、その不作法さもかえって幼児の潔《きよ》らかさであった。その幸福と輝きとのうちに浸ってる二人の優しい頭の上やまわりには、荒々しい曲線と角度とがもつれ合い錆で黒くなってほとんど恐ろしいばかりの巨大な前車が、洞穴《ほらあな》の入り口のように横たわっていた。そこから数歩離れて、宿屋の敷居《しきい》の所にうずくまってあまり人好きのせぬ顔立ちではあるがその時はちょいとよく見えていた母親が、鎖につけた長いひもで二人の子供を揺すりながら、母性に特有な動物的で同時に天使的な表情を浮かべて、何か危険なことが起こりはすまいかと気使って見守っていた。鎖の揺れるたびごとに、その気味悪い鉄輪は、怒りの叫び声にも似た鋭い音を立てた。が子供たちは大喜びで、夕日までがその喜びに交じって輝いていた。巨
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