はそれをもってカリバンを縛したことであろう。
 なぜそんな荷馬車の前車がそこの小路に置かれているかというと、第一には往来をふさぐためで、第二には錆《さ》びさせてしまうためだった。昔の社会には種々な制度があって、そんなふうに風雨にさらして通行の邪魔をするものがいくらもあった、そしてそれも他には何らの理由もないのである。
 さてその鎖のまん中は心棒の下に地面近くまでたれ下がっていた。そしてその撓《たる》んだ所にちょうどぶらんこの綱にでも乗ったようにして、その夕方、二人の小さな女の児が腰を掛けて嬉しそうに寄りそっていた。一人は二歳半ぐらいで、も一人のは一歳半ぐらいであって、小さい方の児は大きい方の児の腕に抱かれていた。うまくハンカチを結びつけて二人が鎖から落ちないようにしてあった。母親がその恐ろしい鎖を見て、「まあ、私の子供にちょうどいい遊び道具だ、」と言ってそうさしたのだった。
 二人の子供は、それでもきれいなそしていくらか念入りな服装《みなり》をさせられて、そして生き生きとしていた。ちょうど錆びくちた鉄の中に咲いた二つの薔薇《ばら》のようだった。その目は揚々《ようよう》と輝き、その瑞々《
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