ろうと思われるほどだった。
それは森林地方で厚板や丸太を運ぶのに使われる荷馬車の前車《まえぐるま》であった。その前車は、大きな鉄の心棒と、それに嵌《は》め込んである重々しい梶棒《かじぼう》と、またその心棒をささえるばかに大きな二つの車輪とでできていた。その全体はいかにもでっぷりして、重々しく、またぶかっこうだった。ちょうど大きな大砲をのせる砲車のようだった。車輪や箍《たが》や轂《こしき》や心棒や梶棒などは厚く道路の泥をかぶって、大会堂を塗るにもふさわしい変な黄色がかった胡粉《ごふん》を被《き》せたがようだった。木の所は泥にかくれ、鉄の所は錆《さび》にかくれていた。心棒の下には、凶猛な巨人ゴライアスを縛るにいいと思われるような太い鎖が、綱を渡したようにつるされていた。その鎖は、それで結《ゆわ》えて運ぶ大きな木材よりもむしろ、それでつながれたかも知れない太古の巨獣マストドンやマンモスなどを思い浮かばせた。それは牢獄のような感じだった。それも巨人のそして超人間的な牢獄である。そして何かある怪物から解き放して置かれているかのようだった。ホメロスはそれをもってポリフェモスを縛し、シェークスピア
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