をこめて断然たる「畜生[#「畜生」に傍点]!」という言葉を発しながら、鞭《むち》をもって強く一打ち食わせるか食わせないうちに、やせ馬は倒れてしまって、また再び起きなかったのである。通行人らの騒ぎに、トロミエスの愉快な聴衆もふり向いてながめた。そしてその間にトロミエスは、次の愁《うる》わしい一節《ひとふし》を歌っておしゃべりの幕を閉じた。
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辻《つじ》馬車と四輪の馬車と同じ運命《さだめ》の
浮き世にありてまた駑馬《どば》なりければ、
ああ畜生の一種なる駑馬のなみに
この世を彼女は生きぬ。
[#ここで字下げ終わり]
「かわいそうな馬。」とファンティーヌはため息をもらした。
ダーリアは叫んだ。
「そらファンティーヌが馬のことを悲しみ出したわ! どうしてそんなばかな気になれるんだろう!」
その時ファヴォリットは、両腕を組み頭を後ろに投げ、じっとトロミエスを見つめて言った。
「さあ! びっくりするようなことは?」
「そうだ。ちょうど時がきた。」とトロミエスは答えた。
「諸君、この婦人たちをびっくりさす時がやってきたんだ。婦人諸君、しばらくわれわれを待っていてくれたま
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