三 四人に四人
四十五年前の学生やうわ気女工らの野遊びのさまは、今日ではもう想像するも困難である。パリーは今ではもはやその頃のような郊外を持たない。パリーの周囲の生活とでもいうべきものの姿は、半世紀以来まったく変わってしまった。昔がた馬車の走っていた所には今は鉄道があり、小舟の浮かんでいた所には汽船がある。昔はサン・クルーのことを今日フェカンの話をするように話したものである。現今一八六二年のパリーは、フランス全部を郊外とする都市となっている。([#ここから割り注]訳者注 本書は一八六二年に出版せられたものなることを記憶せられたい[#ここで割り注終わり])
さて四組みの男女の者は、当時でき得る限りの郊外ばか騒ぎを本気にやってのけた。ちょうど夏の休みになっていた時で、暑いうち晴れた日であった。前日、文字を知ってるただ一人の者であるファヴォリットは、四人の名前でトロミエスに次のように書いてよこした。「早くから出かけるのが楽しみですわ。」それで彼らは朝の五時から起き上がった。それから馬車でサン・クルーに行った。水の涸《か》れている滝を見て叫んだ、「水があったらさぞきれいだろう!
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