二百五十リーヴル
捨児のため…………………………………………五百リーヴル
孤児のため…………………………………………五百リーヴル
合計………………………………………………三千リーヴル
[#ここで字下げ終わり]
これがミリエル氏の予算表であった。
司教区の臨時の収入、すなわち結婚公示免除、結婚免許、灌水《かんすい》式、説教、会堂や礼拝堂の祝祷《しゅくとう》、結婚式、などの収入について、司教はできるだけ多く富者から徴収し、それだけまた貧しい人々に与えた。
しばらくの後、金銭の寄進が流れ込んできた。金のある者もない者もミリエル氏の門をたたいた。後者は前者が置いていった施与を求めるためである。一年たたないうちに司教は、あらゆる慈善の会計係となり、あらゆる困窮の金庫係となった。莫大《ばくだい》な金額が彼の手を経るようになった。しかしなお彼の生活法は少しも変わるところなく、彼の必要に対して何かが加えられることもなかった。
いや、それどころではなかったのである。上の者に情けがあるよりも下の者に困窮がある方がいつも多いものであるから、言わばすべてが受けらるる前にまず与えられたのであった。乾
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