おもしろいことが好きだから、皆で何かおもしろいことをして遊ぼうよ。そしたらお爺さんも笑い出して、出て来るかも知れないぜ」
 皆はそれに賛成しました。そしておもしろいことを考えつきました。
 めいめい、木の枝を切り取って、それを頭に巻きつけました。帯の所にも巻きつけました。手には、美しく紅葉《こうよう》したかえでの枝を持ちました。そして、林の中に散らばって、大きな木の根本に隠れました。一、二、三、と合図の声で、皆一度にぴょんと飛び出して、踊りながら歌をうたいました。

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きいのこきのこ
きんたけぎんたけどこいった
おやまのじいさんどこいった
きのこのじいさんどこいった
でーてこ でーてこう
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 踊りながら次第《しだい》に集まってきて、円《まる》く輪をつくって、くるくると廻りました。
 アハハハハハという笑い声がしました。そらッ! と皆振り返って見ると、向こうの茂みの中に、お爺《じい》さんがにこにこして立っていました。お爺さんは言いました。
「とうとうわしの方が敗けてしまった。お前達はほんとにおもしろい児《こ》だ。明日からまたきのこをたくさん
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