と捕まえられると思いました。

      三

 翌日になって、村の人達がたんぼの仕事に出て行った後で、子供達は皆集まって、大変大きな紙の袋をこしらえました。それを持って、山のふもとの林の所へまいりました。
 それで、いつもの通りたき火をしました。けれど、あまりたくさん煙が出ないようにと、枯枝《かれえだ》や枯葉を少ししか集めませんでした。それに火をつけて、煙が立ち始めると、皆は大きな紙袋《かんぶくろ》の口を広げて、その中へ、煙をみんなあおぎ込んでしまい、そのあとをしっかと紐《ひも》で結《ゆ》わえました。お爺さんが煙の中にいるとすれば、もう煙と一緒に袋の中にはいってるはずです。
「お爺さんを捕まえた、捕まえた」と言って皆は踊り上がって喜びました。
 ところが、袋は大きくふくらんでそこに転《ころ》がってるきりで、中にお爺さんがいそうなようすも見えません。「お爺さん、お爺さん!」と呼んでも、何の返事もありません。子僕達は疑い始めました。そして、中をちょっとのぞいてみることにしました。
 皆集まって、大きな紙袋《かんぶくろ》の横の方を少し破いて、中をのぞこうとしました。すると、その破れ目から
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