た、皆でその遊びに夢中になっていますと、山の方からさっと風が吹いてきて、青い空にゆるく立ち昇っていたたき火の煙が、ゆらゆらと乱れかけるとたんに、高い所で、アハハハ……と大きな笑い声がしました。子供達はびっくりして、歌も踊りも止めて見上げますと、髪の毛のまっ白な白髭《しろひげ》の大きなお爺《じい》さんが、煙の中にぼんやり浮き出して、にこにこ笑っています。おや! と思うまに、お爺さんの姿はすーっと消えてしまいました。
皆は夢でもみたような気がしました。けれども、とにかくお爺さんの姿が煙の中に実際見えたのです。一寸法師の子僧ではなくて人の何倍もある大きな白髪《しらが》白髭のお爺さんでしたけれど、ちっとも恐くないやさしい顔つきで笑っていたのです。
子供達はそれに元気づきました。そしてやはり毎日のようにそこへ来て、たき火をして遊びました。すると、必ず一度は煙の中に、お爺さんの笑い声が聞こえて姿が見えました。けれどそれはいつも、ほんのちょっとの間だけでした。
「あのお爺さんを煙の中から呼び出して、一緒に遊んでみたいなあ!」と皆は思いました。
そしていろいろ知恵をしぼって、お爺さんを呼び出す手
前へ
次へ
全11ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング