ました。秋のことで、枯枝《かれえだ》や落葉《おちば》などがたくさん積もっていました。村の子供達はそこへ行って、林のふちの野原にたき火をしました。煙の下からぼうと火が燃え出してくると、皆は手をつないで、ぐるぐる火のまわりを廻りながら、大きい声で歌を歌いました。
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おうさむこさむ
やまからこぞうがないてきた
なーんとてないてきた
さむいとてないてきた。
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歌っているうちにますますおもしろくなって、しまいに皆は踊り始めました。
ところが、やがてたき火の火が燃えきってゆき、皆は歌うのに声が疲れ、踊るのに身体《からだ》が疲れてきても、一寸法師の子僧は出て来ませんでした。皆は歌も踊りもやめて、燃え残りの火を見たり、山の方を眺めたりしながら、がっかりしてしまいました。
けれど、一度では諦《あきら》められませんでした。子供達はそれから毎日のように雑木林の所へきて、たき火をし、歌をうたい、踊り廻って遊びました。今にきっと何か出て来るような気がしてきました。それにまた、その遊びはどの遊びよりもおもしろうございました。
二
ある日もま
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