へ進み行かせるのだ。いずれの道へかと問う必要は、ここにはなく、ただ信念の道へというだけで充分であろう。
然し、道は暗い。殊に敗戦日本の道は暗い。誰だって泣きたくなるだろう。居酒屋の酒にも酔い痴れたくなるだろうじゃないか。だが、もう飲み疲れた。家に帰ろう。帰って眠ろう。それにしても、
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時間よおれはおまえにきくが。
おまえの未来はギラギラ光るか。
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おれだって、夢は持ってる。いつまでも持ってる。甞てもそうだった。友と二人で、曇天の下、芝浦埋立地にじっとしていたことがあり、お互に夢を持ってそうしていたことが、泣きたいほど嬉しかったのだ。其後、死んでいった友もあり、別れていった友もある。
これを、甘い感傷と言う勿れ。心平さんの敏感なそしてやさしい心根なのだ。
三
人事は常に変転するが、自然のうちには、些細なものにも幽遠な影が宿っている。一塊の石にも、億年の姿がこもり、或は壮大な光りが映る。
竹のたたずまいの、雄々しさよ、またやさしさよ。降る雪の静けさよ。皿に置かれてる塩鮭の一切にも、なんという美があることか。
春と
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