った午前中に、彼はいろいろと離技《はなれわざ》を演じて見せたのだから。ダンデライアンやクロウヴァやカウスリップやバタカップなどは、パーシウスがニンフ達から貰ったような、翼の生えたスリッパを、ユースタスが履いているのだと、も少しで本当に思い込むところだった。実際この学生は、今し方まで地上にいたかと思うと、たちまちにして胡桃《くるみ》の木の天辺《てっぺん》に上っているようなことが度々《たびたび》あったのだ。すると今度は、胡桃の大雨をばらばらと子供達の頭の上に降らして、彼等は大急ぎでそれをバスケットの中へ拾い集めるのであった。つまり彼は栗鼠《りす》か猿かのように飛び廻ったあとなので、今度は、黄色い落葉の上に身を投げ出して、ちょっと休みたい様子だった。
しかし子供というものは、他人がくたくたに疲れていたって、情《なさけ》も容赦もあるものではない。もしも一息でも吐《つ》く息が残っていれば、それでお話をしてくれとせがむのである。
『ユースタスにいさん、』とカウスリップが言った、『ゴーゴンの首のお話はとても面白かったわ。あれに負けない位のお話を、も一つお出来になりそう?』
『出来るよ、君、』とユー
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