スタスは言って、これから仮睡《うたたね》でも始めようかとでもいったように、帽子の庇《ひさし》を目の上までぐっと下した。『あれ位なのは、いや、やろうと思えばもっと面白いのを、一ダースくらいは出来るよ。』
『ねえ、プリムロウズとペリウィンクル、にいさんのおっしゃったこと聞いて?』と叫んで、カウスリップはよろこんで踊り出した。『ユースタスにいさんは、ゴーゴンの首の話より、もっと面白いのを一ダースもして下さるんですって。』
『一つだってするとは言ってやしないよ、この小さなカウスリップのお馬鹿さん!』とユースタスは半分怒ったように言った。『しかし、どうもさせられそうだね。これもあんまり評判を取ったおかげだ! 僕はもっとずっとのろま[#「のろま」に傍点]に生れるか、それとも、天から授った立派な才能を少し隠すかしとけばよかったなあ。そうすれば、静かに、気楽に仮睡《うたたね》も出来たんだが。』
 しかし、従兄ユースタスは、私が前にもちょっとそんなことを言っておいたと思うが、子供達が話を聞くのが好きなのと同じように、彼はまた話をして聞かせることが好きなのであった。彼の心は自由な、愉快な状態にあって、それ
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