小春日になることだろう! 子供達は勢よくバスケットを取上げて、飛んだり跳ねたり、思いきりはしゃいだり、ふざけたりしながら出発した。一方|従兄《いとこ》のユースタスは子供達の思い思いのはしゃぎ方のまだ上手《うわて》を行って、いろいろ変ったふざけ方をして見せたので、子供達も、とてもその真似は出来ないと諦めてしまった位で、立派にこの一行の首領たる資格を証明したわけであった。そのあとからは、ベンという立派な老犬がついて行った。ベンは動物としては珍らしいくらい立派な、親切な犬だったが、どうやら、このおっちょこちょい[#「おっちょこちょい」に傍点]のユースタス・ブライト以上の監督なしで、これらの子供達を親達の許《もと》から離れさしては、自分の責任になるとでも感じているらしかった。
[#改丁]

    シャドウ・ブルック 
       ――「何でも金になる話」の前に――

 お昼に、子供達の一行は、或る谿間《たにま》に集まった。その底の方を小さな谷川が流れていた。谿は狭くて、その両側が、川の縁《ふち》から急な斜面になっていて、樫や楓まじりに、主として胡桃《くるみ》と栗の木とが深く茂っていた。夏の
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