けていた、今まで財布ほどの大きさしかなかった、小さな、縫取りをした袋が、たちまちメヅサの首がはいるほどの大きさになりました。目にもとまらないほどの早さで、彼はまだ蛇がしきりにうごめいているメヅサの首をつかんで袋の中に押込みました。
『あなたの仕事はすみました、』と静かな声は言いました。『さあ逃げなさい。メヅサを殺された仇を討とうとして、他のゴーゴン達が命がけでかかって来るでしょうから。』
実際、逃げる必要がありました。というのは、パーシウスがメヅサの首を落す時、いくら静かにやろうとしても、剣を打ちおろす音、蛇がしゅっしゅっという声、それからメヅサの首が海辺の砂の上にどさっ[#「どさっ」に傍点]と落ちる音などがしたので、他の二疋が目を覚ましたからです。彼等はちょっとの間、ねむそうに真鍮の指で目をこすりながら坐っていましたが、一方彼等の頭の蛇は、おどろきと、相手は何ものとも知らないながらも毒気を含んだ敵意とで、みんな棒立になりました。しかしその二疋のゴーゴン達が首のなくなった、うろこだらけのメヅサの死骸と、すっかり逆立《さかだ》って、半ば砂の上にひろげられた金の翼とを見た時に立てた叫びと
前へ
次へ
全307ページ中59ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ホーソーン ナサニエル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング