ている者が、その間中、鋭くあたりを見廻しながら、他の二人の手を引いて歩くのでしたが、その目附があまりきついので、パーシウスは彼とクイックシルヴァとが隠れている深々《ふかぶか》と茂った藪まで突き通して見られやしないかと、びくびくものでした。いやどうも、そんな鋭い目の届くところにいるのは、本当に恐しいことでした。
 しかし、彼等がその藪まで来ないうちに、三人の白髪婆さんの一人が口を切りました。
『もし! スケヤクロウさん!』と彼女は叫びました。『あんたは十分長く見たじゃないか。もうあたしの番だよ!』
『もうちょっとの間、あたしに借《か》しといておくれ、ナイトメヤさん、』とスケヤクロウは答えました。『あの茂った藪の蔭に、あたし何かちらっと見えたような気がするからさ。』
『へん、それがどうしたっていうの?』とナイトメヤはすねたように言い返しました。『あたしには、あんたのようにたやすく茂った藪の中が見えないとでもいうの? その眼はあんたのものでもあり、あたしのものでもあるんだよ。そしてあたしはあんたに負けない位、その眼の使い方を知っている。いや、どうかすると、もっと上手かも知れない。どうあっても
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