姉だよ、』と見知らぬ人は言いました。『本当に、彼女は大変聡明なんだ。それにわたし自身としても、大した智恵はないが、どんなことにぶっつかっても、途方に暮れるというようなことはまずないね。もし君が大胆に、そして細心になって、わたし達の言うことをきいてれば、まだ当分は石像になるなんて心配は御無用だ。しかし、君は先ず第一に、君の盾を、鏡のようにはっきりと顔が映るようになるまで、磨かなくてはならない。』
 これはまた、冒険の手始めとしては随分変なものだなと、パーシウスは思いました。というのは、盾などというものは、顔が映って見えるほど光ったりしているよりも、ゴーゴンの真鍮の爪から彼を護《まも》るだけの丈夫さのある方が、ずっと大切だと彼は考えたからでした。しかし結局彼よりもクイックシルヴァの方に深い考えがあるのだろうと思ったので、彼はすぐ仕事に取りかかりました。そして大変精を出して、熱心に盾をすり磨きましたので、すぐそれは秋のお月様のように光って来ました。クイックシルヴァはそれを見てにっこりとして、よしよしといったように、うなずきました。それから、自分の短い、反《そり》のついた剣をはずして、パーシウ
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