ませんか! それからとんとんと台所の床を歩いて行って、大変もったい振って、礼儀正しく、クイックシルヴァの椅子の傍に立って、はじめてその杖はとまりました。しかし、フィリーモン爺さんも、彼の妻と同じように、お客をもてなすことにすっかり気をとられていたので、その杖のしていることには、ちっとも気がつきませんでした。
ボーシスが言ったように、二人のおなかのすいた旅人には、とても足りそうもない夕食が出ていました。テイブルのまん中には、黒パンの残りが置かれ、その一方には一きれのチーズ、他方には蜂蜜が一皿ありました。お客にはめいめい、ちょっとした葡萄の房もついていました。それから、牛乳を大方一杯入れた、中位な大きさの壺がテイブルの隅に置いてありましたが、ボーシスが二つの鉢にそれを注《つ》いで、客の前に出してしまうと、その壺の底には、ほんの少ししか牛乳が残っていませんでした。ああ! 物惜しみをしない人が、貧乏な境遇に苦しめられて、どうにもならないということは、なんと悲しいことでしょう。気の毒なボーシスは、もしもこれから一週間何もたべないでいると、このおなかのすいた客達に、もっと十分な夕食が出せるのだっ
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