てくれて、しかもそれを少しも馬鹿にしないほどかしこい人に出あった時に、必ず感じる気持です。
 しかし、フィリーモンは、単純な、やさしい心の老人だったので、打明ける秘密とても、あまりありませんでした。それでも、彼は今までの生活について、随分しゃべりました。その長い年月の間、彼はこの家から、二十マイルと離れたこともないのでした。彼の妻ボーシスと彼とは、若い時分からずっと、この小さな家に住んで、正直に働いて食って、いつも貧乏でしたが、それでも満足していました。彼はボーシスがどんなにいいバタやチーズをこしらえるか、そして彼が庭につくる野菜物がどんなにおいしいかを話しました。それからまた、彼等夫婦はお互に深く愛し合っているので、死別《しにわかれ》はいやだから、一しょに暮らして来たように、一しょに死にたいというのが、二人の願いだと話しました。
 見知らぬ人はそれを聞いて、顔一杯に微笑しましたが、その表情はおごそかでありながら、またやさしいものでした。
『あなたはなかなかいいおじいさんだ、』と彼はフィリーモンに言いました、『そして、つれあいとしていいおばあさんをお持ちだ。あなた方の願いはかなえられて
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