クイックシルヴァと呼んで下されば、かなりぴったりした名だと思います。』
『クイックシルヴァ? クイックシルヴァ?』とフィリーモンは繰り返して、もしかその若い人が彼をからかっているのではないかと思って、その顔をのぞき込みました。『それは随分おかしな名ですね! そして、そのお連れの方は? やっぱりそんな妙な名前ですかい?』
『それは雷に訊いてもらわないと分らない!』とクイックシルヴァは、謎のような顔をして答えました。『雷ほどの声をしていないと言えないんです。』
 これは、本気か冗談か知らないが、もしもフィリーモンがおそるおそる年上の旅人の顔を見て、いかにもなさけ深そうだということが分らなかったら、とても怖気《おじけ》づいてしまったことでしょう。しかし、こんな小屋の戸口の傍に坐ったこともないようなえらい人が、今ここに来て、ただの人間みたいにして坐っていられるのだということだけは、間違いなさそうでした。その見知らぬ人は、いかにもおごそかに、フィリーモンがいやでも心の奥底まで打明けて言ってしまわないではいられなくなるような風に口をききました。これは、人々が、彼等のいいことも悪いこともすっかり分っ
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