て来たので、何か少しでも普通と違ったことが起った時には、いつでもそれに応じた処置のとり方を相当よく心得ていたからです。このおそろしく大きな椀が、ハーキュリーズを乗せて、ヘスペリディーズの庭へと海を渡って行くために、何か目に見えない力によって海に浮かべられて、こちらへ流されて来たのだということは、火を見るよりも明らかでした。そこで、すぐさま、彼は縁を乗り越えて、その中にすべり込み、そこに獅子の皮を敷いて少し横になって休むことにしました。彼はあの川の縁で娘達に別れてからというものは、今までほとんど休まないで来たのでした。彼はうつろな椀のまわりに、こころよい、響のいい音を立ててぶっつかりました。椀は軽くゆらゆらと揺れて、その動揺があまりいい気持なので、ハーキュリーズは揺られながら、たちまちこころよいねむりにさそわれて行きました。
彼のうたたねが相当長くつづいたと思ううちに、彼の乗っている椀が、一つの岩に触れて、そのために、金か真鍮か、とにかくその椀が出来ている金《かね》が、たちまち、どんなに大きな音をたてる教会の鐘よりも百倍も大きく鳴りひびきました。その音で目をさましたハーキュリーズはすぐ
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