だったからだということを忘れないで下さい。世間は、まだ不幸なんていうことを知らなかったのです。これらの子供達が、楽しく暮らすために地上に送られて来てから、誰一人として、病気をしたり、調子が悪かったりしたことはなかったのです。
とうとう、どうしたものか、何の遊びをはじめても、彼のせいでそれが止《や》めになってしまうということが分ったので、エピミーシウスは、今の彼の気持には却ってよく合っているパンドーラのところへ帰るのが、一番いいと思いました。それにしても、彼女を喜ばせたいという気持はあったので、彼は花をつんで、花環につくり、それを彼女の頭につけてやろうと思いました。花は薔薇や、百合や、オレンヂの花や、そのほかもっと沢山あって、とても美しく、エピミーシウスがそれを持って歩いたあとには、いい匂いが残りました。そしてその花環は、男の子としては、これ以上を望む方が無理だと思われるくらいうまく出来ていました。僕はいつも、花環を編むには、女の子の指の方が向いていると思っていました。しかし男の子も、その頃には、今の男の子よりも大分上手だったのです。
ここで僕は、大きな黒雲が少し前から空にわきおこっ
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