で、僕達はエピミーシウスがどうしていたかを見ることにしましょう。
 パンドーラが来て、彼と一しょに暮らすようになってから、彼女を入れないで彼が何か面白いことをしようとしたのは、この時がはじめてでした。しかし何をしても、うまく行きませんでした。そしてまた、いつものように楽しくもありませんでした。甘い葡萄も、熟した無花果《いちじゅく》も見つかりませんでした(エピミーシウスに一つ悪いところがあるとすれば、それは無花果があんまり好きだという点でした)。また、折角熟していたと思えば、今度はあまり出来すぎていて、甘ったるくて食べられないのでした。いつもならば、ひとりでに声が飛び出して来て、一しょに遊んでいる仲間までが一層陽気になる位なんだが、今日はちっともそうした愉快な気持になれませんでした。結局、彼はとても落着かない、不満な気持になるばかりで、ほかの子供達は、一体エピミーシウスはどうしたのか、わけが分りませんでした。彼は自分でも、ほかの子供達と同様に、どこがどういけないのか分らないのです。それというのは、僕達が今話している時代には、幸福に日を送るということが、みんなの性質であり、いつも変らぬ習慣
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