よ。』
『あたし、もう面白いことなんか厭きちゃった。そしてもしも、この上面白いことがちっともなくなってもかまわないわ!』と、だだっ児のパンドーラは答えました。『それにあたし、面白いことなんか、ちっともないんだもの。このいやな箱がいけないんだわ! あたしもう、しょっちゅうそのことばかり気にかかってるの。その中に何がはいってるか、どうしても聞きたいわ。』
『もう五十遍もくりかえして言った通り、僕知らないんだよ!』と、エピミーシウスも、少し腹を立てて答えました。『知らないのに、中に何があるか、言えるわけはないじゃないか?』
『あけたらいいでしょう、』パンドーラはエピミーシウスを横目で見ながら言いました。『そしたら、あたし達で見られるじゃないの。』
『パンドーラ、君はなんてことを考えてるんだ?』エピミーシウスは叫びました。
 そして彼が、決して開けないということにして彼に預けられた箱をのぞいて見るなんて、如何にもおそろしいといったような顔をしたので、パンドーラも、もうこの上そんなことは言い出さない方がいいと思いました。しかし、それでもやはり、彼女はその箱のことを考えたり、言ったりせずにはいられ
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