も訊かないでおくれよ。あの箱は大切に取っておくようにと言って、ここに置いて行かれたんで、僕も何がはいっているか知らないんだ。』
『でも、誰があんたにそれをくれたの?』パンドーラは尋ねました。『そして何処から来たもんなの?』
『それもやっぱり秘密なんだ、』エピミーシウスは答えました。
『なんてじれったいんでしょう!』パンドーラは唇を尖がらして叫びました。『あたしあんな大きな、いやな箱はどっかへ持って行ってしまってほしいわ!』
『さあ、もう箱のことなんか考えないで、』とエピミーシウスは叫びました。『そとへ飛び出して行って、ほかの子供達と何か面白いことをして遊ぼうよ。』
エピミーシウスとパンドーラとが生きていた時からは、もう幾千年にもなります。そして今日《こんにち》では、世の中もその頃とは大変違ったものになりました。その頃には、誰もみんな子供でした。その子供達の面倒を見るお父さんやお母さんは要りませんでした。何故かというと、あぶないなんてことはないし、心配なことなんかもなんにもないし、又、着物をつくろうこともいらないし、それから、食べ物や飲み物は何時《いつ》でもどっさりあったからです。御馳
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