リップを膝に乗せて、みんなに静かにするように言ってから、パンドーラという困ったいたずらっ児と、その遊び相手のエピミーシウスとの話を始めた。次の頁から、ユースタスが話した通りに、その話を皆さんに読んでいただきましょう。
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子供の楽園
この古い世界が、まだ出来たばかりの、遠い遠い昔のこと、エピミーシウスという子がいました。その子は、はじめからお父さんもお母さんも無しでした。それではあんまり淋しかろうというので、やっぱりお父さんもお母さんもない今一人の子供が、エピミーシウスと一しょに暮らして、彼の遊び友達ともなり、相談相手にもなるようにと、遠い国から遣わされて来ました。彼女の名はパンドーラといいました。
パンドーラがエピミーシウスの住んでいる小さな家へはいって来た時、第一に目についたのは、一つの大きな箱でした。そして、彼女が閾《しきい》をまたいでから、ほとんど最初に彼に尋ねたことは、こうでした。
『エピミーシウス、あの箱には何がはいっているの?』
『僕の大好きな小さなパンドーラ、』とエピミーシウスは答えました、『それは秘密なんだ。後生だから、あの箱のことはなんに
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