みしていた何かの小説に厭《あ》きて、ぶらぶらと遊戯室へはいって来たのだった。『折角僕が冬中やれると思っていたスケートも、これじゃ出来なくなってしまうし、雪のいたずらもこれ位で沢山だよ。もうわれわれは四月まで湖も見られないよ。僕は今日初めてあそこへ行って見ようと思ったのに! プリムロウズ、僕が気の毒だとは思わない?』
『おう、本当にお気の毒だわ!』とプリムロウズは、笑いながら答えた。『しかしあなたを慰めるために、あたし達、あなたが玄関や、シャドウの谷川の窪地でして下さったような、昔のお話をまた聞かしていただきましょう。木の実がなっていたり、お天気がとてもよかったりする時分よりも、なんにもすることがない今みたいな時の方が、お話がよけいに面白いと思うわ。』
そこで、ペリウィンクルや、クロウヴァや、スウィート・ファーンや、そのほかまだタングルウッドにいるきょうだいや、いとこ達の三四人が、ユースタスのまわりに集まって来て、熱心にお話をせがんだ。その大学生はあくびをして、のびをして、それから子供達がとても感心して見ている前で、椅子の上を三度前後に跳び越えた。彼が子供達に説明したところによると、頭
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