。ところが、この季節には、太陽はどちらかというと、ぐずぐずとおそく上って、そのくせ行儀よく六時か、或はもっと早く、ちょうど小さな子供達がしなければならないように、さっさと西の山に眠ってしまうのである。だから、われわれはその頃の日が長いなんて言えないのだ。しかし、どういうものか、その短さも、そのたっぷりした幅の広い感じで補われるのである。そしてひいやりとした夜になると、両腕で抱え切れないほど、今朝から人生を楽しんだという気がするのである。
『さあ、さあ、みんな!』とユースタス・ブライトは叫んだ。『もっと、もっと、もっと胡桃《くるみ》を拾って! 君達の籃《かご》一杯にするんだよ。そしたら、クリスマス時分には、僕がみんなにそれを割って上げて、いろいろいい話を聞かして上げるからね!』
こうして彼等は帰って行った。彼等はみんな大変な元気だったが、ただ一人小さなダンデライアンは、可哀そうに、栗のいがの上に坐っていたので、その刺《とげ》が針山にささったように彼にささっていた。まあ、彼はどんなに痛かったことだろう!
[#改丁]
タングルウッドの遊戯室
――「子供の楽園」の話
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