いっても幾センチ位だったかというような、こまかい質問をいつもするのだった。『メアリゴウルドはどれ位の大きさだったの、そして金になってからはどれ位の重さだったの?』
『彼女は大体君くらいの高さだったんだ、』とユースタスは答えた、『そして、金は大変重いから、少なくとも二千ポンド位はかかったね。金貨にすれば、三、四万|弗《ドル》も取れたでしょう。僕はプリムロウズが、その半分の値打もあればいいと思うなあ。さあ、みんな、この谿から上って、その辺を見ようじゃないか。』
 彼等はそうした。太陽は正午の位置から、一、二時間廻っていたので、西陽のかがやきが谷の大きな窪みに一杯になって、なごやかな光がそこに満ちあふれて、まるで鉢になみなみと注《つ》いだ金色の酒のように、まわりの丘の間からこぼれて行きそうだった。昨日もちょうどこんなだったし、明日もまたちょうどこんなだろうに、思わず、『こんないい日は今迄になかったなあ!』と言わずにはいられなくなるような日だった。ああ、しかし一年を通じて、こんな日はそうざらにあるものではない! こうした十月の日は、その日その日が大変長いような気がするのが、その著しい特長である
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