させたりしながら、この不思議な話を、僕が今君達にしたのと大体同じように、話して聞かせるのが好きでした。そのあとで、いつも彼は孫達のつやつやした巻毛を撫でながら、だからお前達の髪もお母さんの筋を引いて、やっぱり豊かな金色をしているんだよと教えるのでした。
『そして、本当のことを言えばね、わしの可愛い孫達、』と、しきりにその間も子供を膝の上でぴょんぴょんさせながら、マイダス王は言うのでした、『その朝からというものは、わしはこのほかの金色のものはすべて、見るのもいやになってしまったんだよ!』
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     シャドウ・ブルック
       ――話のあとで――

『どう? 君達、』と、聴手《ききて》からはっきりした意見を引出すことの好きなユースタスは尋ねた、『生れてから、この「何でも金になる話」よりもいい話を聞いたことがある?』
『だって、マイダス王の話なんて、』と、生意気なプリムロウズが言った、『ユースタス・ブライトさんが生れる前から、何千年も有名だったんだし、また、にいさんが死んだあと何千年でもやっぱり評判は落ちないでしょう。しかし、世の中には「何でも鉛にする力」といったよう
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