のところへ飛んで来て、「わざわい」に刺されて赤くなったところを、ちょっと指でおさえると、すぐにその痛みは消えてしまいました。それから、彼女がパンドーラの額《ひたい》に接吻すると、彼女の傷もまた、同じようになおってしまいました。
こうした親切をつくしてくれたあとで、その光を帯びた見知らぬ人は、愉快そうに子供達の頭の上を飛び廻って、大変やさしく彼等を見たので、彼等は二人とも、箱をあけたことはそう大して悪くもなかったという気がして来ました。というは、もしもあけていなかったら、このうれしい訪問者までが、あのお尻に螫《はり》を持った小悪魔達にまじって、箱の中に閉じ込められていなければならなかったでしょうから。
『美しい方、一体、あなたは誰なの?』とパンドーラは尋ねました。
『わたしを「希望《ホウプ》」と呼んでいただきましょう!』とその明るい人は答えました。『そしてわたしはこんな陽気な者ですから、人達に対して、あの大勢のいやな「わざわい」の埋合《うめあわ》せをつけるために箱の中に入れられたんです。どうせ「わざわい」は人達の間にまき散らされることになっていたんですからね。決して恐れることはありませんよ! 「わざわい」がいくらいたって、わたし達はかなり面白くやって行けますよ。』
『あなたの翼は、虹のような色をしてるわねえ!』とパンドーラは叫びました。『まあ、なんて美しいんでしょう!』
『ええ、虹みたいでしょう、』ホウプは言いました、『何故かといえば、わたし陽気なたちなんですけど、にこにこしているだけじゃなくて、少しは涙をこぼすこともあるんですから。』
『そしてあなたは、いつまでもいつまでも、あたし達のところにいて下さる?』とエピミーシウスは尋ねました。
『あなた方がわたしに用がある間はいつまでも、』とホウプは、気持のいい笑顔をして言いました、――『つまり、あなた方がこの世に生きているかぎりということになるでしょうね、――わたしは決してあなた方を見捨てて行かないことを約束しますよ。時により、季節によっては、時々わたしが全然逃げてしまったのかと思うようなことがあるかも知れません。しかし、多分あなたが思いもかけないような時に、ひょっこり、ひょこりと、わたしの翼の光があなた方の家の天井に見えて来るでしょう。本当ですよ、わたしの大好きな子達、そしてわたしはこれから先あなた方がいただくことに
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