撞球室の七人
橋本五郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)撞《つ》いて
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大型|蟇口《がまぐち》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+它」、第3水準1−14−88]
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……別の一台の方では、四人の人間が大声に笑いながら、賑かに三人上りの球を撞《つ》いていた。私の方は三人。前回に惜しい負をした私は休んで、もう五回から撞き続けている憎々しい眉間《みけん》に大きな黒子《ほくろ》のあるもじりの男と、それから新しい相手の、どこか南洋へでも行っていたらしい色のくろい男との勝負を見守っていた。そして、新しい相手がどうかしたはずみにチョークを取り落して、それを拾うために身を跼《かが》めた。チョークは球台の暗い真下の方へ転んで行ったらしい。黒子の男も何がなしに台の反対側に跼みこんで、相手の落したものを捜してやろうとした容子《ようす》だった。別の台の方で、誰かが馬鹿に大きな声で、
「ざまあ見ろ!」と笑うの
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