の穴ん中へ落ちこんで、馬のやつがどうしても動かねえ。呶鳴《どな》りつけたってどうしたって、仕方がねえから可哀想だが縄っ端でビシビシ打っ叩いてやったんだが、引っぱたく度に鳴きやあがって、そしてよろけるもんだから、このお屋敷の塀に打つかって、おら、塀を壊しやしねえかと思ってね……」
田中君は、二人の半纏が立ち去ってから、こっそりと門を出てその穴を見に行った。たしかに馬力の落ち込んだ穴であった。
[#地付き](「探偵クラブ」一九三二年十二月)
底本:「「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8」光文社文庫、光文社
2001(平成13)年12月20日初版1刷発行
初出:「探偵クラブ」
1932(昭和7)年12月号
入力:川山隆
校正:noriko saito
2008年3月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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