れは現在記者の卓上に置かれてあるのだが――解明の可能性は決して思ったほど乏しいものではないようだ。報告書にはこう書いてあった――
『両駅間の軌道沿線には、炭坑の散在するあり。それらの内、あるものは活坑なれどもその他は廃坑なり。しかして右の内、本線より私設線を炭坑の入口まで引込みおるもの七ヶ所あり。いずれも長さは二三|哩《マイル》に過ぎず。七ヶ所の内、レッド・ガウントレット、ヘロー、デスポンドのスラウ、及びハートシーズの四炭坑へ通ずる四つの引込《ひきこみ》線は本線に合する部分の軌道が取除かれおるをもって、本職はこれが探査を省けり。(右のうち、ハートシーズ坑は十年以前まで当地方主要炭坑の一として有名なりしもの)残るは他《た》の三線すなわち、
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(一)カーンストック鉄工場引込線
(二)ビッグ・ベン炭坑引込線
(三)パーシヴィアランス炭坑引込線
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なるが、この中《うち》ビッグ・ベン線は延長四分の一|哩《マイル》に過ぎず、軌条《レール》は発掘されたる石炭の山の辺《ほとり》にて尽き、途中に何ものをも見ず。次にカーンストック鉄工場引込線は、六月三日は十六
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