。閣下等自身のため、たとえそれがこの自分のためでなくとも、一時《いっとき》をも失わぬように、――閣下よ、そして――大将よ、そして――男爵よ。(閣下等は上のブランクを自らうずめるがよい)

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『追――以上の陳述を読み直した時、自分はただ一つの言い洩しのあったことを発見する。それは不幸なる人マックファースンに関してである。彼は愚かにも彼の妻宛に手紙を出して、紐育《ニューヨーク》で会う約束をしたのだ。彼のような奴が、自己の大秘密を女に打明けかねまいかどうか、全く知れたものではない。彼すでに妻に手紙を送ったことによって、我々の堅い誓いを破っている以上、我々は彼を信用することが出来なくなった。そこで我々は彼をして、妻が亜米利加《アメリカ》へやって来ても決して会わないことを誓うべく余儀なくさせるため、断乎として迫った次第だ。』(完)
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底本:「「新青年」復刻版 大正10年(第2巻)合本2」本の友社
   2001(平成13)年1月10日復刻版第1刷発行
初出:「新青年 第二卷 第四號」博文館
   1921(大正10)年3月13日印刷納本
※「旧
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