、至急|倫敦《ロンドン》行きの別仕立列車を仕立ててもらいたいと申出でた。それは表向きで、心中ではカラタール氏と同車が出来るだろうと期待していたのだ。そうなれば、何かにつけて便利だろうと考えたから――例えばもし、我々の大隠謀《だいいんぼう》が失敗に帰した場合彼等両名を射殺《いころ》した上、書類を奪い取るのが彼の役になっていたのだから。カラタール氏は、しかし、決して気をゆるさなかった。そして他の旅客を相客に持つことを絶対に拒絶した。そこで我が腹心は停車場を去った――というのは実は見せかけで、あらためて他の入口から歩廊《プラットホーム》に忍び入り、歩廊《プラットホーム》から一番遠くの方に位置していた車掌乗用車の中《うち》に姿を匿《かく》した、そして車掌のマックファースンと同乗して出発したのだ。
『その間にこの自分がどんな行動をとっただろうか、それは諸君の知りたく思うところであろう。しかし、万事はもうすでに二三日前から着々準備されていたのだ、ただ最後の仕上げを要するばかりになっていたのだ、我々が択んだ引込線は、以前はもちろん本線に聯結していたのだが、その後引離されたままの状態になっていた。我々
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