。女中はそのまま家の方へ駈け戻ったが、走りながら振返ってみると、その男は窓から中へ半身を乗り入れるようにしていたという。けれどもそれから一分間後に、ハンタが犬をつれて外へ飛び出して見た時には、もうその男はいなかったので、厩舎のまわりを駈けずりまわって探してみたが、どこにも姿は見えなかった。」[#「」」は底本では欠落]
「ちょっと」
私はホームズを遮った。
「ハンタは犬をつれて飛び出した時、厩舎の戸締りをしないでおったのかい?」
「素敵! 素敵だ! その点が非常に大切だと思ったから、僕は昨日ダートムアへ電報を打って訊ねてみた。ハンタは出る時鍵をかけたそうだ。そして窓は、人間の入れるほどの大きさはないという。
ハンタは仲間が食事から帰って来るのを待って、親方の調馬師に事の次第を報告に出かけた。ストレーカはそれをきくとひどく昂奮して、それが何を意味するか分らなかったらしいが、漠然たる不安を感じたらしかった。そして夜の一時に細君がふと眼を覚ましてみると、服を着かけていたという。細君が驚いてその理由《わけ》を訊ねると、馬のことが心配になって眠れないから、厩舎に間違いでもないかを見に行くつもり
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