《みなり》で、短く刈込んだ頬髯を持ち眼鏡をかけていた。前者は、近頃英国探偵界にメキメキ男をあげて来たグレゴリ警部、後者は運動家として有名なロス大佐である。
「ホームズさん、あなたの御出張を得ましたことは欣快の至りです」
 大佐が挨拶をした。
「ここにおいでの警部殿も出来るだけの手をつくして下すっていますが、気の毒なストレーカの復讐のため、かつは馬を取戻すためには草の根を分け石を起し、あらゆることをやってみたいと思って、それであなたの御出張をお願いいたした次第です」
「その後何か新発見でもおありでしたか?」
 ホームズが訊ねた。
「残念ながらほとんど進展してはいません」
 警部が引取って答えた。
「出口に無蓋馬車の用意をして来ましたから、暗くならない中《うち》に、何より先きに現場をごらんになりたいでしょうから、委しいことは馬車の中で申し上げることにしましょう」
 一分間の後、私たちは乗心地のよい回転馬車《ランドウ》に座を占めて、見馴れぬ古風なデヴォンシャの市を駆《かけ》らせていた。グレゴリ警部は今度の事件で胸一杯だったと見え、話は後から後へと迸り出た。それに対してホームズは時々質問や間投
前へ 次へ
全53ページ中17ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ドイル アーサー・コナン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング