ーリントンの森の中に、隠れていてごらん。そうしたらいずれ君は事実を目撃するだろうが、その時君の独断専行で、善処してみるさ。それから廃院の住人たちを調べて来てくれること、――これだけをやって来てもらえば、大《おおい》に助かるんだがね。そしてワトソン君、――あとはもうこの問題の解決の、牢固《ろうこ》たる足がかりを得るまでは、何にも云わないことにするよ」
私たちは、あの娘さんから、月曜日の午前九時五十分の汽車で、ウォーターローの停車場を発って行くときかされていたので、私は早く出かけて、午前九時十三分の汽車に乗った。
ファーナムの停車場に着いてからは、私は別に迷いもしないで、すぐにチァーリントンの森に行くことが出来た。それから例の娘さんの、受難の地も決して見紛うようなところではなかった。道は広い荒原を通っていて、一方には荒野原、他方には巨木の林立した、公園を取り囲んだ、水松《いちい》の生籬《いけがき》のあるところ、――そこには苔むした石でたたまれ、両側には紋章のついた柱の立っている正門があった。しかしこの車道の外《ほか》に、生籬に破れたところがあって、そこからも小径が通っているのだと云うこ
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