れ誰か、人知れず懸想している者も、あるには相違ないが、しかしこの事件には、ちょっと奇妙な、暗示的な変な性質が潜んでいるように思われるよ、ワトソン君、――」
「と云うのは、その者は同一の場所にだけ現われると云うためにかね?」
「そうだ。我々はまず、チァーリントンの廃院に、どんな者が住み込んでいるか、それを探り出さなければならない。それからカラザースとウードレーの関係を調べてみなければならない。この二人はどうもとても性質が相背馳《あいはいち》しているようだからね。それからこの二人がどうして、ラルフ・スミスの親類に、熱心に注目するようになったか? それから更にもう一つは、女家庭教師に普通の二倍もの給料を払いながら、停車場まで六|哩《まいる》もあると云うのに、馬一頭飼ってないと云うのは、一たいどう云う家政なのだろうね? ワトソン君、これはおかしいよ。これはどうしたっておかしいよ」
「君はしかし出かけるだろう?」
「いや相棒君、君が出かけてみてくれたまえ。これは案外つまらないものかもしれないし、僕はこのために、他の重大なものを、中絶させることは出来ないのだ。月曜日に早く、ファーナムに行って、チァ
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