トレードは一同が入口の方に来る時に受け合った。
「まだ何か仰ることがありますか?」
「いや、一たい君はどう云う罪名にしようと云うんだね?」
「どう云う罪名ですって? それはもちろん、シャーロック・ホームズ氏謀殺未遂事件でしょう、――」
「いやいや、レストレード君、僕はこの事件の中には、一切関わりを持ちたくないんだがね。この特筆大書すべき逮捕の名誉は、すべて君に帰すべきものだ。そうだ、レストレード君、僕は君を衷心から祝福する。君の日頃の幸運に賦《めぐ》まれている、巧妙と大胆とは、彼を見事に逮捕することになったのだ」
「彼をですって? ホームズさん、彼をって一たい誰をです?」
「それこそ誰あろう、――あらゆる捜査を、五里霧中に葬り去らせて[#「去らせて」は底本では「去らせた」]いた、セバスチャン・モラン大佐、――すなわち先月の三十日の夜、レーヌ公園第四百二十七番で、表二階の開いている窓から、柔軟弾を使用した空気銃で、ロナルド・アデイア氏を射殺した、大犯人さ。レストレード君、これがすなわちこの犯人の罪名だよ。さて、それからワトソン君、――もし君が、破れた窓から入る隙間風に我慢が出来るなら、せ
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