正当の理由を、持っているかもしれないがあるいはまた、持っていないかもしれない」
彼もこう言葉を向けて来た。
「しかし僕は少なくとも、この人間の嘲笑を、我慢してきいていなければならないと云う理由はないと思う。僕はいずれ、法の適用を受けるのであったら、あくまで合法的にやってもらいたいものだ」
「なるほどそれは当然のことだ。ホームズさん、私達はゆくまではどうぞ、何も仰らないで下さい」
レストレードも云った。
しかもこの時はホームズは床の上から、かの強力な空気銃を取り上げて、その機械を調べていた。
「これは全く恐怖すべき独特の武器だ。音もしないでいて、驚くべき偉力を発揮するんだからね」
ホームズは感歎した。
「僕はあの独逸《ドイツ》の盲目の機械師の、フォン・ヘルダーを知っていたが、この銃は彼が、死んだ、モリアーテー教授の注文で、組み立てたものだ。僕も長年の間、この存在には深く注意していたが、しかしついぞ今日まで、これを手にする機会はなかったものだ。レストレード君、この銃とそれからこれに添えた弾丸とは、君の最善の注意に委托しますよ」
「それはもう御安心下さい。ホームズさん、――」
レス
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