じ》をつなぎ、その上に銃を置かなかったかね? すなわち君の虎を育て上げる餌を求めるために、――ははははははは、この空家は私の木、――そして君は僕の虎だ。君はたぶん他の銃の持ち合せもあったであろう、――すなわちもしや数頭の虎が居た場合か、または、それは君にははなはだ応《ふさ》わしくない想定かもしれないが、撃ち損じをした場合の用意として、――」
 こう云って彼は周囲を指し、
「これ等は僕の他の銃だ。ははははははは、この比喩は面白い」
 モラン大佐は激怒して、咆吼しながらホームズに飛びかかって来た。しかし巡査に遮られて引き止められてしまった。その形相がまた、いかにも凄かった。
「まあ実のところ、僕は君にただ一つの意外に驚かされた」
 ホームズは更に云った。
「実際僕は、まさかこの空家とこのあまりな好都合な窓とを、君自身が御出張で利用するものとは想像しなかったよ。僕の想像ではまあ、あの僕の友人のレストレード君やその一味の者が君を待ち受けている、往来から来るものと思っていた。まあこれだけが唯一の予想外で、あとはすべて思う壺だったわけさ」
 しかしモラン大佐は刑事の方に向いた。
「君は僕を逮捕する
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