人間であるかと云うことがわかったが、その連累者が、モリアーティが僕に襲いかかった時に、見張りをしていたのだ。彼は遠方から、僕には全く気づかれないように、その友人の死と、僕の遁走を見届けたのだ。彼はしばらく待ち構えた後、廻り道して断崖の上に来て、その友人の失敗を、見事に取り返そうと云うことであったのだ。
ワトソン君、しかし僕はこう云う想定をするのにも、決して手間取らなかったよ。その中《うち》にまた懸崖の上には、凄い顔が現われて、こっちを見下している。もう第二の石の来る前兆である。とにかく僕は小径の上に這い下りた。もちろん僕はこうしたことを、落ついてやってのけたとは云わないよ。何しろこの這い下りることは、這い上るのに何百倍して、困難なことだったからね。しかし僕はもちろん、危険などと云うことを考えてはいられなかった。僕が出張りの角に手をかけてぶら下った時に、また第三の石が落っこって来て、間髪の間を唸り越えて行った。半分はただ辷り落ちに落ちて、ただ天祐で、とにかく平なところに着陸した。皮膚は擦りむけて、小径の上に血痕が滴りついた。それから僕は遁走を続け、暗夜の中を十|哩《まいる》の山路を突破
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