死んでからまもなく、アトランタに大きな火事があったんです。それで、彼女の持っていた写真はみんな焼けてしまいました」
「奥さんは死亡証明書を、持ってる。――あなたはそれを、御《ご》らんになったと、おっしゃいましたね」
「ええ。彼女は火事の後《のち》、複写をとったのです」
「あなたは、アメリカであなたの奥さんを知ってる人に、誰かお会いになった事はありませんか」
「いいえ」
「奥さんは、またアメリカへ行きたいなどと、おっしゃってはいませんか」
「いいえ」
「でなければ、アメリカから手紙が来ませんか」
「私のしってる範囲ではない様です」
「有難うございました。――ところで、その事件について考えてみなけりアならないんですが、もしその離れ家がそのまま空家になっているとすると、これはちょっと困難な問題ですね。しかしその反対に、実はそうあってほしいんですが、もしその離れ家に住んでた人が、あなたのやって来るのを前以って知っていて、きのうあなたが這入って行く前にその離れ家から出ていって、今はまた戻って来ているのだとすると、これは案外容易に片がつくと思うんです。――で、それについてあなたにお願いしたいのは、
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